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 113 鎌倉仏教概観

 奈良時代の仏教は政府の管理下にあって、鎮護国家と学問研究が中心的な活動でした。平安時代になると最澄や空海が現れて、単なる学問研究ではなく、仏教の教えを内面化して本当の救いとか悟りを求めるようになり、国家管理から離れ始めます。平安末期には浄土信仰のように一般庶民の中で極楽浄土を求める思想が広まっていきました。
 鎌倉時代になると、さらに日本的な仏教の宗派が生まれてきます。これを鎌倉仏教と言う。
 鎌倉仏教とは、鎌倉時代に武士や庶民に広まった仏教の総称です。平安時代までの仏教の信者は基本的には貴族です。天皇、貴族のものです。それが新しい階級である武士や、一般庶民に広まっていきます。その結果、教えの中身も変化してきます。
 特徴として、武士や貧しい民衆の救済を目指します。信仰を持てば誰でも救われる、と考えるのが鎌倉仏教の特徴です。基本的には大乗仏教の特徴をしっかりと押さえているだけなのですけれどもね。それを徹底化したと言っていいかもしれません。
 鎌倉仏教は全国に広がっていきました。現在でも鎌倉時代に生まれた宗派を信仰している家が多いです。皆さんの中には高野山の真言宗の家があるかもしれません、近いですからね。しかし日本全体を見てみれば、鎌倉時代に生まれた浄土真宗や日蓮宗、曹洞宗などを信仰している家が多い。一番多いのが浄土真宗かな。信者が広がっていくのは教えがわかりやすく簡単だからです。
 仏教においては、悟りを開くために八正道などの修行をしなければならない。しかし鎌倉仏教の特徴は易行です。易行の易は簡単という意味ですね。簡単な行いで悟りを開くことができる。誰でもできるのです。平安時代までの仏教は一般民衆を救おうとは思っていません。最澄も空海も、救済の対象は貴族です。しかし鎌倉仏教になると一般民衆に布教対象が広がります。

 2023年7月10日

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