時間切れ!倫理

 101 その他

 大乗仏教は中央アジアから、中国、朝鮮半島、日本へと伝わってきました。そのため北伝仏教とも呼ばれます。
 大乗といういい方は誰もが乗れる大きな乗り物という意味です。在家信者も含めて、一切衆生を乗せて悟りの世界に連れて行ってくれる大きな乗り物です。上座部仏教では、出家修行者しか悟りを開けません。大乗仏教は在家信者にも悟りの世界へ行く道を開いたので、大乗仏教側は上座部仏教を下にみます。大乗仏教側が、上座部仏教で悟りを開く人のことを阿羅漢と呼ぶのは、少し下に見ている言い方です。
 あとは受験的に覚えなければいけない言葉を紹介します。大乗仏教において菩薩になるための修行のことを六波羅蜜といいます。布施、持戒=戒律を守ること、忍辱(にんにく)=耐え忍んで心を動かさないこと、精進=努力をすること、禅定=精神統一、そして智慧。以上の六つです。大乗仏教も仏教なので、やはり中道です。極端な修行はありません。
 おまけの話です。お経には、本当に仏陀の教えが書かれているのでしょうか。非常にたくさんのお経が中国経由で日本に入ってきています。これは本当に仏陀の教えなのかということです。
 日本に入ってきている大乗仏教のお経に、ガウダマ=シッダールタが喋ったことが載っているかというと、多分ほとんどないと思います。伝統的に日本に入ってきているお経の中で、一番古いものが阿含経(あごんきょう)です。ひょっとしたらこの中に、少しガウタマの言葉が残っているかもしれません。上座部仏教で東南アジアに入ったお経は、もっと古い形なのでガウタマの言葉が多く残っているかもしれません。それでもお経が文字に書かれた時期自体が、ガウタマの死後何百年も経っているので、どれだけ彼の言葉が入っているのだろうか、という感じですね。ですからイスラム教のクルアーンとは全く性質が違う。
 日本に入ってきているお経はいつ頃作られたのか。お経はインドで作られ続けています。密教のお経は、西暦6世紀や7世紀頃まで作られているのではないか。それが中国にもたらされ、漢訳され、日本に入ってきた。
 さて、6世紀頃に作られたお経も、お経として認めるのかということです。結論から言うと、いいんですね。仏教の世界では、6世紀7世紀に作られたお経でもオッケーです。しかし認められないものもあります。
 日本に伝えられたお経は全て中国から来ているのですが、漢訳以前の、インドの言語で書かれたお経がインドに存在するもの、つまり原典ですね、原典がインドにあって、それが中国で訳されて日本に入ってきているものは、本物のお経として認められます。しかし中国には存在しているけれども、その原典となったお経がインドで発見されないもの、これは偽物。偽経(ぎきょう)といいます。つまり中国で作られたお経は偽物だということです。日本に入ってきているお経の中にも、いくつかそういうものがあるそうです。

 2023年3月27日

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