時間切れ!倫理

 105 日本神話 2

(ウ) イザナギの黄泉がえりと禊

 死んだイザナミは死者の国である黄泉の国へ行きます。死んでしまった妻が恋しいイザナギは、彼女を連れ戻しに黄泉の国へ行きます。
 「イザナギはイザナミが忘れられず黄泉の国に会いに行った。ところがイザナミは自分はもう黄泉の国の食べ物を食べ、黄泉の国の住人になってしまったので、二度と自分の姿を見ないで欲しいという。しかしイザナギは櫛に火を灯し黄泉の国に入りイザナミを見た。すると皮膚はただれ蛆がわき、二目と見られぬ姿となっていた。驚いたイザナギが黄泉の国から逃げ出すと、イザナミは黄泉の国からヨモツシコメ達を従えて追いかけてきた。逃げるイザナギが坂の途中に生えていた桃の木から桃の実をもいで後ろに投げると醜女(しこめ)たちは退散していった。」
 簡単に書いてありますが、地下の国に会いに行くわけです。トンネルのようなところに入っていくと、イザナミの声だけが聞こえてくるわけです。イザナギが「帰ろうよ」というと、イザナミは「もう自分は黄泉の国の食べ物を食べてしまったので、汚れてしまったから帰れません」という。「そこを何とかしてくれよ」とイザナギがいうと、イザナミは「ちょっと待ってください、聞いてみます」という。しばらくしてから、「帰れます。あなたと一緒に地上に帰れますが、帰るまでは決して私の姿を見ないでください」という。

※同じ話がギリシャ神話にもあります。オルフェウスが死んだ妻を取り戻すため、冥界におりて、連れ出すことに成功する寸前に振り返って妻を見てしまったために、失敗するという話。

 イザナギは決してお前の姿を見ないと約束するのですが、好奇心に耐えられず彼は見てしまう。そうすると資料集にあるように蛆が湧いて、二度と見れないような気持ち悪い姿だったのです。イザナギは「ゲーッ」と思って逃げるわけです。するとイザナミは「見たな!」と、急にキャラが変わって捕まえて殺そうと思って追いかけてくる。イザナギは結局逃げ切って、地上の国に戻ってくることができました。
 しかし黄泉の国に行ってけがれたイザナミを見てしまったので、イザナギはけがれている。そこで彼は禊をするのです。
 資料集に載っているところを少し読んでみましょう。
「逃げてきたイザナギが海で体を洗うと天照大神(アマテラスオオミカミ)、月読命(ツクヨミノミコト)、スサノオノミコトという神々が生まれた」プリントを見てみましょう。
 イザナギは「なんと穢(きたな)き国にいったものだ。身の禊(みそぎ)をしなければならない。」といって、禊ぎ祓いをした、と古事記には載っています。こんな風に禊とか祓いという言葉が古事記に出てくるということで紹介しておきました。
 その続きです。汚れを落とすためにまず左の目を洗った。「さて左の御目(みめ)を洗った時に、成った神の名は、天照大御神(アマテラス)。」神が成ってくるのですね。「次に右の御目を洗った時に、成った神の名は、月読命(ツクヨミノミコト)。」アマテラスは明らかに太陽の神様、月読命は月の神様ですね。「次に御鼻を洗った時に、成った神の名は、建速須佐之男命(タケハヤスサノヲノミコト)(スサノヲ)。」ここで三柱の神が出てきます。

 2023年5月5日

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