時間切れ!倫理

 160 坂口安吾 小林秀雄

 坂口安吾は戦前から活躍していた小説家ですが、敗戦直後『堕落論』という評論で大ブレイクしました。今を生きる人々の営みを、徹底的に肯定します。「堕落せよ!」と言う。
 生きるためには、こんな事やってはだめだ、なんていうことはない。極端なことを言えば、人がどんどん増えて駐車場が足りなくなったならば、法隆寺を潰してそこに駐車場を作ったらいいんだと言う。千何百年か前の文化遺産よりも、現在生きている人間の方が大事だという。
 敗戦直後の、戦争から解放された人々の生きるエネルギーに応えた評論です。私が読んだのは1980年ころですが、そのとき読んでも、大胆な主張で面白かったですね。

 小林秀雄は、文芸評論家。戦前から活躍し、戦後も亡くなるまで第一線で仕事を続けた大評論家です。小林秀雄が亡くなるまで、この人の上に立つ批評家、評論家はいなかった、という印象です。『無常といふこと』『本居宣長』など。
 私たちが高校時代には夏休みの課題図書には必ず『考えるヒント』という小林秀雄の本が入っていた。
 一読者として私の感想としては、この人の評論は、一つ一つの文は簡単だけれども、全体として何を言っているのかさっぱり分からない、というものです。未だに疑問があります。「小林秀雄を課題図書に出した国語の先生達は、この評論をどう読んでいたのだろう」と。今思うと、職員室に質問しに行けばよかったですね。でも、高校時代の私には、教師に質問するという発想はまるでなかった。今は自分が教師になっているのですが、昔は、敬して遠ざける対象でした。
 話を戻しますが、大学で親しくなった友人たちが、小林秀雄を賞賛していたので、何とか、ものにしなければならないと思って、『無常といふこと』とか『本居宣長』という本を買ったりしました。未だに引っぱりだして読み返してみますが、やはり小林秀雄が何を言っているのかさっぱり分かりません。皆さんも、時間があったら挑戦してみてください。

 2024年10月 1日

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