時間切れ!倫理

 47 孟子 1

@ 性善説

 孔子の200年く.らい後に孟子という人がいます。この人は性善説で有名。人の本性は生まれながらにして善であると彼は考えました。孟子がいっている例え話がある。すごく有名なので聞いたことあるかもしれない。あるところに極悪人がいた。めちゃくちゃ悪い。火つけ強盗殺人強姦なんでもやってきたような男です。こんな男が家の軒先で日向ぼっこをしていた。庭にはハイノ、イを覚えたばかりの赤ちゃんがいて、ハイハイしている。庭には井戸がある。赤ちゃんはなにもわからないからハイハイしながら井戸に近づく。そして井戸に落ちそうになったその瞬間に、そんな男でも「アッ! 」と思わず立ち上がるのだという。そういわれれば、そんな気もする。本当はどうかわからないけれど。目の前で交通事故が起こったら、「あっ!」ていうでしよ。それはびっくりする気持ちもあるかもしれないけれど、交通事故にあう人が心配だからですよね。大丈夫かっ!て。これが性善説です

A 四端

 人には生まれつき備わっている善の気持ちがあって、その端緒が誰にでもある。端緒が四つあって、それを四端といいます。まず、側隠の心。人の困っている場面を見て可哀想だなあとおもう同情の気持ちです。蓋悪の心。自分のなにかを恥ずかしいと思う。恥を知る心です。辞讓の心。譲り合いの気持ちです。是非の心。善悪を判断する能力。これらを人は生まれながらにして持っている。同情する心、恥ずかしいなと思う心、譲り合う心、何がいいか悪いかわかる心、その端緒、芽を人は生まれながら持っていて、それを潰さないようちゃんと育てれば、それぞれ仁、義、礼、智の徳として身につけることができる。この四つの徳を四徳という。
 ちやんと四徳を身につけると、充実した心と力強い気持ちを持つようになる。そういう充実した精神を浩然の気といいます。こういう人になるのが理想なのです。
 こういう人間を大丈夫という。日本語になってるね。全然違う意味で使っているけれど、よく考えると孟子の言っている意味なのです。子供が転んで泣いている。「大丈夫、大丈夫」と慰める。どういう意味か。あなたは「浩然の気」を備えた「大丈夫」なのだから、このくらいのことでへこたれないよね。「お前は大丈夫だ、すごい人間なのだ」と慰めているわけです。「うん、大丈夫」といえば、「私はすごい人間だ」ということだね、本来は。

B 五倫

 孟子は大事にしなければ人間関係を五倫という言葉でまとめています。人間関係の基本 的な秩序が五つあるということです。「親」は親子関係。「義」は君臣関係。この義と先ほど の四端の義が、私の中では意味が繋がらないのですが、ただもう覚えてください。「別」は男女関係。男女の別といいますよね。「序」は長幼の序。先輩後輩関係です。「信」は友人関係。これが基本的人間関係。

 2021年10月16日

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