ロック(1632生、イギリス。哲学・政治学者)の考えはこうです。自然状態において、ホッブスのような闘争状態を考えません。各人は自然法に従い平和が保たれる。しかし財産というものが生まれると、これを巡って争いが生じるという。仲の良い家族でも、父親が遺産を残して死んでしまった後、兄弟が遺産を巡って争いあう、というのはドラマでよくあります。実際にもそういうことはある。離婚する時に財産分与で争いが起こる、とか。
こういう問題は自分達だけでは解決できないので、自然権の一部を政府に委ねることにしましょう、ということで政府が生まれた、と考えます。ホップスは自然権を譲渡するのですが、ロックの場合は信託です。信じて預けるのです。
預けた権力だから、返してもらうことができます。王様がむちゃくちゃなことをやった場合は、国民は「あなたを信じて預けただけなのだから、そんなことならば返してくれ」ということができる。これが抵抗権。王様に抵抗してもよいという理論的根拠が、こうして正当化された。また、国王が言うことを聞いてくれないのならば、無理やりでも預けた権利を返してもらうことができる。これが革命です。ロックの理論は議会制民主主義(間接民主主義)に対応したものです。
実際の話として、1688年、イギリスで名誉革命が起きます。議会と対立した国王ジェームズ2世が亡命し、代わりにオランダ総督ウィレムと妻メアリの夫妻が、新たに王位についた事件です。ウィレムとメアリは即位にあたり、議会を尊重することを宣言しています(『権利の章典』)。議会が国王を取り替えたわけです。このような出来事をロックは理論づけた。オランダから大ブリテン島に渡るウィレムの船に、ロックは同乗していたともいいます。