時間切れ!倫理

 61 ヘブライ王国形成

歴史上のイスラエル人

(イ) ヘブライ王国形成
 エジプトを出たイスラエル人たちは紀元前12世紀ころ、パレスチナ地方で部族連合を形成します。それまでのイスラエル人たちは、部族ごとにバラバラに暮らしていました。それが部族連合体を作り、共通の神様を信仰しはじめた。部族連合だから、まだ国ではない。この時、十二の部族が連合します。そのなかにはずっとパレスチナに住んでいた部族もいれば、エジプトからにモーセに率いられて移ってきた部族もいたと思われます。
 さらにその200年後、紀元前10世紀頃になると、部族連合がさらに固まって国になります。これがヘブライ王国。旧約聖書には、王様の名前が伝えられています。ダヴィデ王、ソロモン王です。これは実在の人物らしく、世界史の教科書にも出てきます。先ほど見た系図にもありますね。
 ちなみに、十二部族の連合が発展して国になったと話ました。系図(前回掲載)を見てもらうと、モーセの祖先にレビという人がいる。彼にはたくさんの兄弟がいます。彼らの父親はヤコブ。ヤコブには四人の妻がいる。レビの母はレアですね。レア以外にラケル、ジルバ、ビルハという妻がいる。レビを含めて、この四人の女性から生まれたヤコブの息子たち。たくさんいますが、何人いるか数えてみてください。十二人いるでしょ。ヤコブには12人の息子がいる。この12人がそれぞれ12部族の祖先になったと伝えられている。
 多分十二部族が連合してパレスチナ地方に住み着いたという事実が先にあって、その後、十二部族は元々同じ祖先から分かれたという神話が作られた。それが旧約聖書に記録されたと考えると非常に納得がいきます。系図というのはそもそもあとからつじつまを合わせて作られることが多いですからね。
 旧約聖書のヤコブには、もう一つの名前がある。その名がイスラエル。だからイスラエル人たちにとっては、自分たちの共通の祖先はこの人、ヤコブなのです。様々な神話や物語は、後から後からその前の時代に付け加えられていったのだとおもいます。
 現実の歴史の話に戻ります。ヘブライ王国はもともと十二部族の連合体だったので、部族間の対立などもあり、やがて南北二カ国に分裂します。前922年頃です。
 北にイスラエル王国、南にユダ王国ができる。小さな国がさらに二つに分かれるので、弱かった国がさらに弱くなる。この状態はイスラエル人全体にとっては非常にやばい。周りには強国だらけです。
 この時に、イスラエル人同胞に危機を訴えた人がいます。それが預言者イザヤ。「このままではわれわれイスラエル人の運命はひどいことになる」と。しかしその甲斐もなく、イスラエル王国はメソポタミア方面にできたアッシリアという強国に滅ぼされてしまった。

2021年12月19日

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